前回のブログで小金井市でボディメイク口座の講師を務めることを書きましたが、
その講義の内容で「筋トレメニューの作り方」を話します。
そこで、自分の頭の中で話すことをまとめるために、「筋トレメニューの作り方」を運動生理学的や解剖学的な観点から説明していきたいと思います。
筋トレメニューは専門的には「レジスタンストレーニングプログラム」といいますが、一般の方にわかりやすく「筋トレメニュー」としましょう。
まず最初に説明していくのが「なぜ10回なのか?」ということです。
テレビなんかでも有名な有賀誠司先生や谷本 道哉先生が「10回やりましょう」という主旨のことを話しています。
よく教科書にも書いてあり、「回数が10レップ」というのは目的が「筋肥大」のときに用いられます。
※レップ=Repetitionの略で「回数」の意で筋トレ界ではよく用いられる
筋力であれば6レップ以内、筋持久力が目的であれば15レップ以上なんて言われたりします。
それをわかりやすく表にしたものがこちらです。
表をみると正確には6~15レップなんですが、わかりやすく間をとって「10レップ」として話を進めます。
「なぜ10レップか?」というのは誰が言い出したのかははっきりせず、いくつかの説がありますので、1つずつ紐解いていきましょう。
説1:速筋線維を刺激したいから説
筋線維は大きく速筋線維(白筋)と遅筋線維(赤筋)に分類されます。
収縮が早くその張力が大きいのが速筋線維、張力は小さいけど持久力に優れているのが遅筋線維です。
本当はこの2つのみならず、生理学上もっと細かく分けることができるのですが、便宜上2つのタイプがあることとします。
筋肥大は主として速筋線維が太くなることによって起こります。
遅筋線維の肥大は若干のようです。
よって筋肥大トレーニングではこの速筋線維を優先的に刺激することがポイントとなります。
ではどうしたら速筋線維を刺激できるのでしょう?
これを「サイズの原理」から考えてみます。
筋線維は脊髄前角から伸びている運動神経によって支配さています。
運動神経は途中数十~数千枝分かれをし、枝分かれをした軸索はそれぞれ1個の筋線維に接合します。
1個の運動神経とそれが支配する筋線維の集団を「運動単位」と呼びます。
1つの運動単位に含まれる筋線維の数を「神経支配比」といい、精密な運動調節が必要な顔の表情筋などの筋肉では神経支配比が小さく(10~100)、逆に一気に大きな力を発揮する下肢の筋肉では神経支配比が大きい(腓腹筋では~1700)とされています。
そして同じ筋肉でも遅筋線維は神経支配比が小さく=「運動単位のサイズが小さい」、速筋線維は神経支配比が大きい=「運動単位のサイズが大きい」、ということになっています。
徐々に力を入れていくような筋力発揮を行った場合、まずサイズの小さい運動単位=遅筋線維から優先的に動員され、筋力発揮が大きくなっていくと速筋線維も動員されるようになっています。
これが「サイズの原理」です。
すなわち、速筋線維を十分に動員するには大きな力を発揮することが必要で、
その大きな力というのがおおよそ「65%1RM以上」=15RM以上の負荷と言われているのです。
これが筋トレは「10回できる重さでやりましょう」という1つの根拠になります。
しかし、公園などで、おそらく腕立て伏せしかしていないであろうおじさんが、そこそこマッチョであることを目にすることがあります。
他にも懸垂やディップスのような動きを何百回とやっているであろう体操選手もかなりのマッチョです。
つまり、軽い負荷でも回数をこなしていることでマッチョな体づくりをしている人が多数いることを我々は経験的に知っています。
本当に軽い負荷では筋肥大は起こらないのでしょうか?
次回はその辺を紐解いていきましょう。
次回へ続く
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