では筋トレのやりすぎと腎炎の関係はどうか?

運動すると一時的に血尿になったり、尿にタンパクが増えることがある。

これが運動性蛋白尿だ。

しかしこれは一時的なものであり、自覚症状はなく2448時間以内に消失する。

治療の必要はなく、運動制限もない。

このような症状が出ることがあることから当然、激しい運動=腎臓に負担をかけるというイメージが作られる。

そして実際につい最近までは腎臓病の患者さんに対しては運動制限がかけられるのが当たり前であった。

しかし昨今では腎臓病の患者さんに対しては逆に運動を処方するというのが主流的な考えになっている。

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運動をすることによって腎臓の機能が回復するというデータすらある。

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人工透析中に足だけの自転車こぎをするというケースも。

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そのキーワードが一酸化窒素(NO)だ。

運動をすると血流が加速され、NO産生に必要な酵素が働き、血管の内皮細胞からNOが産生される。

NOは血管を柔らかくし、拡張してくれる作用があるので、腎臓の血流量増加にも一翼を担ってくれると考えられているのだ。

このような理由から運動はむしろするべきなのであるが、これにも注意が必要だ。

何度もこのブログで書いているが、腎臓に最も負担をかけるのは「風邪をひくこと」である。

人生全体で長い目で見れば筋トレは免疫力を上げてくれるものと信じているが、激しい筋トレ直後は免疫機能の主役ともいえる血液中の白血球がダメージを受けた各組織に集まったり、またはストレスホルモンであるコルチゾール(=血液中の白血球を減らして免疫力を落とすという作用がある)が分泌されるため、一時的に免疫力は低下する。

免疫力が低下しているということは「細菌やウイルスに対して無防備な状態」にあるということ。

このときに風邪ウィルスに体内に入り込まれたら感染する可能性は大である。

なお、低下した免疫力が元のレベルまで戻るのは24時間ほど必要とされている。

慢性腎炎の原因として「筋トレやりすぎじゃね?」という疑問はあながち間違ってはいないのだが、筋トレが直接腎臓に負担をかけるのではなく、免疫力低下中に風邪をひくことが腎臓に負担をかけるのである。

よって医者としては「運動は適度に」してもらいたいというのが本音だろう。

事実、適度な運動であれば「血液中の白血球が増えて免疫力が高まる」ことが確認されている。

現時点では主治医の齋藤先生からは運動制限はかけられていないが、「絶対に風邪をひくな」という指示を受けている状態である。

 

前回のブログと今回のをまとめると、

    タンパク質摂取は23g×体重/日程度までなら問題ない

    むしろ免疫力を上げるためにはタンパク質は必要

    さらに免疫力を上げるためにはタンパク質のみならず栄養バランスの良い食事を心がける

    食事で気を付けるべきはタンパク質よりも塩分の摂りすぎ

    そしてタンパク質源である肉や魚を増やすと、結果的に塩分も増える可能性があるのでその注意が必要

    風邪はひかない方がよい

    激しい運動直後は免疫を一時的に下げるので、「いい加減」で運動することが大事

というまとめになる。

 

「〇〇ニーやりすぎじゃね?」という疑問に関しては論外でしょう。

それならばAV男優や既婚者はみんな慢性腎炎になってます。

 

続く。。

 

※今回の見解もあくまで私個人の見解です。実際に慢性腎炎を患っている方は医師の判断にしたがってください。