筋トレをすると様々なホルモンが分泌されます。
ホルモンとは何でしょう?
ホルモンとは「直接血液またはリンパ液中に放出され、一般的にはある特定の器官に対してのみ、ごく微量でその作用を発揮する」とされています。
その作用とは「①発育・成長の調節、②自立機能および本能的行動の調節、③内部環境の維持調節」の3つです。
このホルモンを分泌する内分泌器官と自律神経を中心とした神経性調節の統合的な相互作用の結果として、ホメオスターシス(恒常性維持機能:外部環境の変化に対して内部環境を一定に保とうとする働き)が可能になっています。
ホルモンには様々な種類があり、筋トレを語るうえで代表的なものとしては、テストステロン、成長ホルモン、IGF-1(インスリン様成長因子)、コルチゾール、アドレナリン、インスリンなどが挙げられます。
筋トレはこれらホルモン分泌のバランスを整えてくれるので、筋トレの効能を説明するうえで、ほとんどがこのホルモン分泌の説明が主になります。
そして筋トレに関するホルモンとして常に話題の中心となるのが男性ホルモンの1つである「テストステロン」。
テストステロンとはどんなものでしょう?
・ 男性ホルモンの1つで、その約95%が睾丸(精巣)で作られる
・ 成人男性が1日に分泌するホルモンは約7mg前後
・ 少量ながら女性も卵巣や副腎から分泌され(男性の5~10%程度)、陰毛の成長に作用する
・ 日中よりも夜寝ているときに多く分泌される
・ 20代にピークを迎え、30歳ごろから年1~2%の割合で減少し始める
・ 筋トレや不安定な興奮(例えば闘争や浮気など)によって分泌が促される
・ 睡眠不足やストレスで分泌が減る
「筋肉がつく」ホルモンなので、女性よりも男性の方が筋肉が多いのもテストステロンのおかげですし、中学生や高校生くらいの頃、特別な筋トレをしなくても、筋肉がどんどんついていったのはこのテストステロンのおかげといえるでしょう。
ドーピングの世界では「アナボリック・ステロイド」といって、この体内のテストステロン値を上げるような薬が主になります。
有名な話としては1980年代の陸上短距離のベン・ジョンソン選手がソウルオリンピックの100mでカール・ルイス選手に勝利し、優勝した直後、アナボリック・ステロイドを使ったことが発覚して金メダルをはく奪されたことは世間に大きな衝撃を与えました。
サプリメントでも「テストステロンブースター」といって、体内でテストステロンの分泌を促すようなサプリメントも販売されています。
ただしテストステロンブースターのサプリメントのほとんどがその効果がはっきり証明されておらず、サプリメントをとるのであれば、単純にプロテインやアミノ酸を飲んだ方が筋肥大には手っ取り早いようです。
テストステロンには「筋肉がつく」効果があるのですが、他にどんな効果があるのかみてみましょう。
・ 筋力、筋量の増加→多種多様な効果
・ 気分の高揚、冒険心やチャレンジ精神、闘争本能→うつ病予防、リーダーシップ、女性からモテる、ビジネススキルの向上
・ 性欲の向上→少子化対策
・ 骨の強度アップ→骨粗しょう症予防
・ 血管拡張作用→動脈硬化などの予防
・ 糖代謝を部分的に制御→血糖値、内臓脂肪と総コレステロールを減少→体脂肪減少
・ 脳の記憶機能を司る海馬の活性化→言語などの記憶力、空間の認識能力の向上
体脂肪減少や動脈硬化予防といった肉体的なことばかりでなく、冒険心や闘争本能、空間認知能力といった精神的なことまで…
ちなみに飛行機のパイロットに女性よりも男性が多いのはこの空間認知能力の差があるから、と言われています。
確かに車の縦列駐車など女性は男性に比べて下手な気が…
女性差別をするつもりはありませんよ~。
このように体内でテストステロンが分泌されることで様々な健康効果が期待できます。
筋トレの場面では身体の長軸方向に負荷がかかるような種目をやるとテストステロンが分泌されやすいとされています。
スクワット、デッドリフト、クリーン、ショルダープレスなどです。
もちろん女性でもしっかり分泌されるはずですよ。
スクワットでは高重量のバーベルをかついだだけでテストステロンが分泌されるという話も聞いたことがあります。
シンプルにまとめると筋トレ→テストステロン分泌→様々な健康効果となるわけです。
体内のテストステロン値を上げるだけで世界が救われそうですね!
もちろんドーピングに頼ってはいけませんよ。
逆に副作用により様々な病気や身体の異常が現れます。
テストステロンについてはまだまだ今回だけでなく、まだまだ奥が深そうなので、興味深い情報が入り次第お伝えします。
テストステロンが追加されただけで図がかなり複雑になりました。
こうしてまた「筋トレが世界を救う」の根拠がここに記された。
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