前回の続きで成長ホルモンの作用についてみていきましょう。
前回は「成長」に関する作用でしたが、今回のテーマは「代謝」です。
〇成長ホルモンの「代謝をコントロールする」作用
・ (骨、筋肉以外にも)心臓やその他全身の臓器などの細胞において、炭水化物、脂質、タンパク合成を促進し細胞増殖を促す
・ 体脂肪動員の促進:エネルギー不足の状態の時、脂肪組織から遊離脂肪酸の形で放出させる。
これら代謝に関する作用から考えられる効果は、
肌の新陳代謝を促進(美肌効果)、毛髪を作る→美容効果→異性にモテる→少子化対策
創傷治癒→医療費削減
筋肉がつく、脂肪がたまらない、糖化の抑制、血圧低下→生活習慣病予防→医療費削減
といった健康効果や社会的効果が期待できます。
そしてこれらは全て「美容効果」や「アンチエイジング」に関することです。
筋トレをすると筋肉だけでなく、他の臓器や肌まで若返っていくんですね。
美肌や毛髪を作るという効果まで…
よく「男性ホルモンが強いとハゲやすい」なんて、理論上考えつきやすいことですが、実際はそんなことありません。
髪がふさふさしているボディビルダーはたくさんいます。
実はテストステロンでハゲやすくなっていたとしても、成長ホルモンの毛髪増量効果で相殺されていたとして…
僕の勝手な想像で科学的根拠はありません。
また、ボディビルダーは肌があまりきれいには見えないのですが、これは日焼けしているためと考えています。
日焼けさえしなければ成長ホルモンの影響により美肌を保てているはず…です!
そこら辺の怪しいサプリメントを飲むより、よっぽど筋トレの方が美肌を作ってくれますね。
美肌効果、脂肪燃焼効果、毛髪増毛効果…
もはや女性に成長ホルモンは必須のアイテムです。
筋トレや高強度の持久的運動などの強度の高い運動を行なうと血中の成長ホルモン濃度は200倍程度に増加するそうです。
また睡眠中にも同程度に増加します。
睡眠中に多量に分泌されるので、子供の成長や創傷治癒、肌の新陳代謝は睡眠時に特に促進されます。
「寝る子は育つ」が科学的に証明されていたということです。
そして筋トレにもやり方によって成長ホルモンが分泌されやすい方法とそうでない方法があります。
それは「血液中に乳酸が出る」ようなトレーニングをすること。
=「筋肉がパンパンに張った感覚」(パンプアップという)があるようなトレーニングです。
例えば重い重量で少ない回数を行うといった方法ではなく、中~軽い重量で回数をこなしたり、インターバルを短くしてセット数を多くするといった「量の多いトレーニング」をすると乳酸が出て筋肉がパンパンに張り、成長ホルモンが分泌されやすいということになります。
例えばベンチプレスのMaxに挑戦しようとして80kgを1回だけ上げたとします。
これではある程度の疲労感はあるのですが、筋肉がパンパンに張ることはありません。
重量を軽くして60kg×12回×3セット行った方が筋肉が張る感覚があるので成長ホルモンが出やすいといえます。
筋肉をパンプアップさせる上級者向けの方法としてはジャーマンボリュームトレーニング(10×10法)、ドロップセット、100レップ法、ジャイアントセットなどがありますが、これらの方法を知りたい方はジムで直接きいてください。
ちなみにですが、それに対して、前回のテーマのテストステロンを増やしたい場合は高重量のトレーニングが必要と言われています(ただし、さほど大きな変化ではなく、むしろ、トレーニングを続けることによって、平常時の分泌量が持続的に上昇する)。
よってテストステロン分泌のためには高重量、成長ホルモン分泌のためには低~中重量ということになります。
「筋肥大のためには高重量か低重量か?」みたいなこともよく議論の的になるのですが、結局は両方やった方がいいということになりますね。
ここまでの文章を読むと女性は成長ホルモン出すための方法がいいのではないかと思うかもしれませんが、テストステロンも女性の健康には重要な役割を果たしていますので、念のため。
なお、筋肥大に関しては成長ホルモンが直接作用するにではなく、成長ホルモンが肝臓に働きかけ、インスリン様成長因子(IGF-1)というホルモンも分泌させ、このIGF-1の方が直接筋肥大に作用するということがわかっています。
ただ上記のやり方で筋トレを行うと、成長ホルモンは間違いなく分泌されるので、成長ホルモンの出るようなトレーニングが「筋肥大が起きるトレーニング」という目安として考えることは間違っていないでしょう。
知人にえらそうに「筋トレすると成長ホルモンが出て筋肉がつくんだぜ」なんて言って、その知人がそこそこ詳しい人だったら「成長ホルモンではないよ。筋肥大を起こすのは成長ホルモンによって分泌されたIGF-1によってだよ」なんて返討ちにあうので気を付けましょう。
こうしてまた「筋トレが世界を救う」の根拠がここに記された。
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